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代表者挨拶

ごあいさつ  

 

2012年4月

 

    国立スポーツ科学センター(JISS)センター長、ナショナルトレーニングセンター(NTC)施設長の岩上です。

 東日本大震災発生から1年、慣れ親しんだふるさとの再生を目指し復旧・復興に向けた取り組みが続けられておりますが、想像を遥かに超えた災害の爪痕は深く、不自由な環境での生活を余儀なくされております。それ以上に、かけがえのない家族や仲間を失った悲しみや無念さといった心の痛手は、年月を経ることにより癒されるものではありません。改めて生命の尊さ、人と人との結びつきの大切さを感じております。

 こうした状況下にあって、昨年のなでしこJapanのワールドカップでの逆境をもはねのけチーム一丸となって戦う選手達の前向きな姿は、日本社会に明るさを灯し、日本の活力を再生していくうえで大きな原動力となりました。また、被災地や避難先の方々を少しでも元気づけたいとの願いを込めてプロ、アマを問わず多くのアスリート達がスポーツを通じた様々な活動を展開してきております。

 さて、心身の健康はもとより喜怒哀楽といった感性を刺激し、人々の繋がりを豊かにするなどの不思議な力を有するスポーツ、このスポーツに着目した動きも活発になってきております。

 文部科学省は、一昨年の8月に、スポーツを通じてすべての人々が幸福で豊かな生活を営める社会づくりを目指した「スポーツ立国戦略」を策定、その後、超党派の国会議員の提案により、これまでのスポーツ振興法が50年ぶりに全面改正され、新たに「スポーツ基本法」が制定され、昨年8月から施行されました。更にこの基本法の内容の具体化に向け、中央教育審議会スポーツ・青少年分科会(文部科学省)に特別委員会が設置され、先般、今後10年程度を見通した「スポーツ基本計画」が策定されました。

 子どもたちへのスポーツ機会の充実、ライフステージに応じたスポーツ活動の推進など多岐にわたった施策が盛り込まれておりますが、JISS関連では、①ジュニア期からトップレベルに至るまでの発掘・育成・強化に対するスポーツ医・科学・情報面からの高度な支援、②出産、育児からの復帰も含めた女性アスリートへの支援、③大規模な国際大会におけるコンディショニング調整などを行う機能を備えた村外拠点の設置など、国際競技力向上に繋がる研究の推進やその研究成果の活用の促進が謳われております。

 今後ともJISSは、スポーツ基本計画の指摘を十分踏まえるとともに、エリートスポーツに対する国際的動向をしっかりと見据えながら、強化現場からより信頼される取り組みを行い、我が国の国際競技力向上の一翼を担えるよう更に努力をしてまいります。

 なお、JISSの機能強化に関わる特記事項としては、アーチェリー競技の実験・練習場が新設されこの4月から具体の利用が始まります。また、自転車、スキージャンプ、スピードスケートなど空気抵抗や揚力等の影響を受けやすい競技種目に対する研究を推進するための風洞実験場や各種のトレーニング、コンディショニング、リカバリー、分析等の機能を一体的に活用できるハイパフォーマンスセンターの整備なども計画的に進めていく予定にしております。

 国際大会関連では、2019年に日本で開催されるラグビーW杯や東京都が招致を進めております2020年夏季オリンピックとの関わりで、メーン会場としての使用が予定される国立競技場の将来構想の検討が始まっております。

 そして、今年、最も注目される話題としては、第30回夏季オリンピックがロンドンを中心に7月27日から開催されます。ロンドンでの開催は、3度目(1908年、1948年)となりますが、日本にとっても嘉納治五郎氏を団長にオリンピックに初参加した1912年の第5回ストックホルムから丁度100年目となります。

 JISSでは、選手村から徒歩10分程度の場所に、オリンピックでは初の試みとなりますマルチサポート・ハウスを設置し、日本選手団をバックアップしてまいります。

 昨年創設10年を迎えましたJISS、強化現場との一体感も醸成され、相互の信頼感も深まってきておりますが、更に研究・サポートの質的向上を図り、アスリート達の期待に応えられるよう一歩一歩前進してまいりますので、今年もご支援・ご協力をお願いします。
  国立スポーツ科学センター センター長 岩上安孝
国立スポーツ科学センター
センター

岩上安孝