第60回 特別支援学校での安全対策 ~栃木県立のざわ特別支援学校(栃木県)~

 

 栃木県は、日光国立公園が立地し、日光や那須などの観光地を有する自然豊かな県です。

 今回は、栃木県立のざわ特別支援学校に伺って、子ども達が安心して元気に学校で過ごせるよう日々注意されていることを中心に取材して来ました

 
栃木県の地図

  人口

およそ199万人


   のざわ特別支援学校はどのような学校ですか。特色を教えてください。
 栃木県立のざわ特別支援学校  本校は、昭和42年に創立した、肢体不自由のある児童生徒に対する教育を行う学校です。小学部・中学部・高等部・訪問教育、そして寄宿舎が設置され、児童生徒の障害状況に応じた3つの教育課程を設けて授業を行っています。

   学校はとても新しくてきれいですね。すべてバリアフリーの設計になっているのですか。
 校舎は平成16年9月に、現在の場所に新築移転しました。校内はすべてバリアフリーになっています。 肢体不自由のある児童生徒が、自分の力で動くことができるところは積極的に動くことで、様々なことを学んでほしいと考え、校内は、車椅子の生徒が活動しやすいように工夫されたつくりになっています。

 グラウンドの様子
   ≪グラウンドの様子(芝生化されている)≫


  施設・設備面で、工夫されているところを具体的に教えてください。
 それでは校舎内の一部を紹介しましょう。
●図書館
図書館内写真(貸出カウンター) 


 図書館内写真(本棚)
 車椅子の児童生徒が通りやすいよう幅を広くとり、本棚も車椅子目線の高さになっています。図書館の本は全てバーコードがついており、児童生徒はカウンターにあるパソコンを使って、自分で本を借ります。

●プール
 プール内写真(プール専用の車椅子)      プール内写真(スロープ)
 児童生徒はプール専用の車椅子(写真左)に乗って、写真右のスロープが付いているプールに入ります。水温は33度程度に設定されています。

●暖房設備
 暖房設備(プールサイド)
     ≪プールサイドの様子≫

 暖房設備(体育館横)
       ≪体育館横の様子≫
 プールサイドには遠赤外線の暖房があり、授業の終わりには35度程度のジャグジーに入って体を温めます。体育館には、暖房装置の他に季節に応じて温風と冷風が出るような装置も設置されています。

 




学校内で発電しているんだ!
 電光掲示板(太陽光発電システム)  









                                              ≪現在の発電量がわかる電光掲示板≫
                                       学校内にある太陽光発電システムは、国から「新エネ百選」に選ばれています。


●教室の入口と廊下
 教室の入口  廊下 広くてキレイだね♪ 

 どの教室の入口も段差がなく、車椅子でもスムーズに入れるようになっています。廊下は木のぬくもりが感じられる温かい雰囲気があり、幅も広く、車椅子での通行に配慮されています。

●調理室
 調理室内写真(車椅子の高さに設置されたレンジ台)          調理室内写真(高さを調整できる調理台)
 レンジや調理台も、車椅子の高さに合わせて作られています。
調理台は、上下ボタンを押すと、高さが調節できるようになっています。

●エレベーター
 閉まった状態のエレベーター扉  
開けると
 広々としたエレベーター内部
 ドアが開くと、右の写真のようになります。車椅子の児童生徒が一度に5、6名乗れる程の広さです。
これにより、1クラス全員が一度に移動できるようになりました。


  校内を歩いてみると、先生の人数が多いように感じます。
どのような先生がいらっしゃるのですか?
 本校は、教諭、講師、非常勤講師の他に、実習助手、寄宿舎指導員、学校看護師、学校栄養士がおります。また、学校行事の際には、地域のボランティアの方にも協力してもらっています。  


 
実際に児童生徒が、食事をしている様子を見ました。
皆楽しそうに食事をしているのが印象的でしたが、それぞれ違ったものを食べているのですか。
 基本的には、同じメニューのものを出しています。違うように見えたのは、障害の状況に応じて、食べ物を細かく切ったり、すりつぶしたりしているからだと思います。  

  のざわ特別支援学校ならではの特色を教えてください。 
 本校は小学部生から高等部生まで、幅広い年齢の児童生徒が通っている学校ですが、どの学年においても一番の目標にしているのが、児童生徒が卒業しても困らないように生活する力をつけることです。

そのため、日頃から「自分のできることは自分で行う」ように指導しています。例えば 靴下も、履けるように指導するより、履かせてしまった方が楽なのですが、それでは力がつきません。

私達教員は、時間がかかってもできることを少しでも増やせるようにしていきたいと考えています。そして、自分の力ではできないことがあったときには、自ら援助依頼をするようにも指導しています。

障害があることで経験が少ないまま成長してきている児童生徒が多いため、校外学習で交通機関や公共施設を利用したり、買い物をしたりという経験的な活動を大切にしています。

高等部においては、卒業後の社会生活や職業生活への適応力を高めるために、実際に「職場で働く」という学習も取り入れています。

年に2回行われる現場実習に加えて、本校は毎週木曜日に「就業体験学習」を行い、教員が生徒のそばで実際に指導しながら、生徒自らが「働くこと」を実践を通じて学習させています。イメージとしては、職場が教室になったようなもの、と考えてもらえばよいですね。
 

  運動会の様子  
≪運動会の様子(雨天のため体育館にて実施)≫  

     文化祭の様子
      ≪のざわ祭(文化祭)での1コマ≫


~取材を終えて~
のざわ特別支援学校には、通常の小・中・高等学校に準じた内容を学んでいる児童生徒から重度重複障害の児童生徒まで、様々な障害のある児童生徒が在籍しています。

 私達が訪れた時間はちょうどお昼から午後の授業にかけての時間帯で、先生の御好意で食事や高等部の国語の授業、自立活動の学習(下肢の運動)の様子を見させていただきました。
 廊下や水道周りなどに、たくさん貼られている手作りの掲示板・展示物を眺めながら、教室に入ると、みんな笑顔で「こんにちは!」と私達に元気にあいさつをしてくれ、毎日愛情いっぱいの中で、学習している様子を肌で感じることができました。

 また、先生方には当初予定していたよりも長く時間を取っていただき、特別支援学校はどんな学校なのかという基本的なところから丁寧に教えていただきました。
「実際に学校を卒業してから困らないように、たとえ時間がかかっても、できる事は自分でやる、できないことは周囲に助けを求める力をつける、そして積極的に周りの人とかかわっていく」という言葉に表されているように、ケガをするから、危ないからというだけで「できる機会」を奪ってしまうのではなく、むしろどんどん外へ出ていくように促す教育は本当に素晴らしいものだと思いました。



 ≪リンク≫
栃木県立のざわ特別支援学校のホームページ



                                                <平成24年2月15日掲載>